日常の雑感

人生の途中経過を記録していきます

音楽の支配力と聴くことについて

音楽が空間を支配している自室にいる。支配的な音楽にそのまま身を任せておけばいいと思うのだが、何もしないでじっと耳を傾けているのには抵抗がある。なにかしていなければ落ち着かない、時間を効率的に使わなければならないと強迫しているような現代的な悩みだ。

はじめは、音源がデジタルだから支配力に欠けていて、他のなにかをし始めてしまうのではないかと疑った。アナログのレコードだったら空間支配力が強いから、そんなことはないのだろうと思った。実証はしなかったが朧げにそう思っていた。しかし、デジタル音源(CD)でも、落ち着いて腰を据えて聴くと支配力は十分にあると感じる瞬間は多くある。そして、効率性とか可処分時間は限られているという意識があることに気づいて合点がいった。何もしていないのだ。

音楽に耳を傾けているという動きを、目に見えた身体を動きを伴わないという理由で、何もしていないと考えるから他の何かをし始めてしまう。考え方の問題だ。耳を傾けるという動きを何もしていない状態とは違うと意識するのだ。音楽を聴くことは何もしていないのではない。時間を無駄にしているわけではない。安心していいのだ。