日常の雑感

人生の途中経過を記録していきます

読書日記

『白鯨』の上巻を読み終わった。読書初心者の僕がここでこの大作についてコメントするのがおこがましいと思うので、何も言わないでおく。近しい人には何か言うかもしれないが、誰が見ているかわからないようなネットでは、言葉に慎重にならざるをえない。

でも、言えることがあるとすれば、読んでいる数週間はとても贅沢な時間だった。これは言える。わからない語を辞書で引き引き読むと、日本語が持つ機微に触れることができた。語が意味するところだけでなく、文中における音の効果もあるように思われた。音が実際に聞こえるわけではないが、読んでいて選ばれた語の音はその文中の雰囲気によく合っていた。多少現代では用いられないような語もあるのだが、その選定は的確だ。

昔読んだ三島由紀夫の『文章読本』では、昔の人は文章を読むのではなく、文章を味わったというようなことが書いてあったが、味わうように読むとこの『白鯨』も実に味わい深い日本語の文章だった。外国の文学なのだけど。翻訳の文章にも日本語的な魅力があるのが素晴しかった。