西村京太郎氏の訃報を聞いた。
氏は、僕の読書開眼の時期に、初めて傾倒した作家だった。例に漏れず、十津川警部シリーズのトラベルミステリーだ。当時小学5年くらいだったと思う。面白かったなあ。鉄道にも興味を持った。時刻表を買って、時刻表上の旅(?)つまり、うまい乗り継ぎをして探すのに躍起になった。『札幌着23時25分』がそんな話だったと思う。記憶が曖昧だが。読むのに燃えた作品だったことはよく覚えているのだが。
そして、西村作品で最も気に入って、何回も読み返したのは、『ある朝、海に』だったな。これは十津川警部シリーズではない。南アフリカのアパルトヘイト問題を題材にした長編で、その問題を世界に知らしめるためシージャックをするという作品だ。これも手に汗にぎる展開で、熱くなったのを覚えている。懐しい。
作品によく親しんだ作家が亡くなるという経験は、歳を取るごとに増えていくだろう。音楽方面でもあったが、こういう時、どういう気持ちでいればよいのだろう。今回は想い出を書き出してみたけれど。
ご冥福をお祈りいたします。